FXのレバレッジが怖い人へ。リスク管理と資金計画の基本
FXは、預けた証拠金を超える損失が生じる取引です。 為替相場が急変した日について、ロスカット後も証拠金で損失をまかなえなかった件数の速報値が公表されており、協会が速報値を公表した4回の急変日では、いずれも個人で1,000件を超えています。レバレッジの倍率だけでなく、取引する数量と、値動きに対していくら損益が出るかを確かめてください。
国内の個人向け店頭FXは25倍以下
国内で個人が店頭FXを行う場合、取引金額の4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要があります。倍率に直すと25倍以下です。法人や取引所FXには別の証拠金基準があるため、この数字をそのまま当てはめません。金融庁「外国為替証拠金取引について」で確認できます(確認日:2026年9月10日)。
25倍は上限であって、推奨倍率ではありません。「3倍以下なら安全」といった一律の境界も設けられません。元本や利益は保証されず、相場の急変で想定を超える損失が生じる場合があります。
同じ数量なら、証拠金を増やしても値動きによる損益は同じ
倍率の意味を確かめるための計算例です。仮に1米ドル=150円で1,000米ドルを買う例です。現在の為替相場や取引実績ではなく、スプレッド・スワップ・手数料等を除いた計算です。
取引金額は150円×1,000米ドル=15万円。これを保有する際の証拠金と倍率を変えても、保有数量が同じなら為替変動による損益は変わりません。
| 項目 | 証拠金5万円の場合 | 証拠金15万円の場合 |
|---|---|---|
| 取引開始時の倍率 | 3倍 | 1倍 |
| 151円で決済した損益 | +1,000円 | +1,000円 |
| 149円で決済した損益 | −1,000円 | −1,000円 |
1円の変動×1,000米ドルで、損益はどちらも1,000円です。一方、証拠金に対する損益の割合は異なります。預けるお金を増やす話と、取引数量を減らす話を分けると、倍率だけでは見えない負担が分かります。
この表は決済まで保有できた場合の単純計算で、必要証拠金の変動やロスカットの発動を再現したものではありません。
損切り注文とロスカットは別の仕組み
損切りは、利用者が損失を確定させて取引を終える判断や操作です。価格条件を指定する注文を使う場合も、急変時には想定した価格で決済できない可能性があります。
ロスカットは、業者が定める基準に達したときに建玉を強制的に決済する仕組みです。ロスカットがあっても、損失が証拠金の範囲に収まる保証はありません。 金融庁は、相場急変時には証拠金を上回る損失が生じ得ると説明しています。ロスカットと流動性のリスク
損切り
- 利用者が損失を確定させて取引を終える判断・操作
- 価格を指定した注文でも、急変時は想定した価格で決済できないことがある
ロスカット
- 業者が定める基準に達すると、建玉を強制的に決済する仕組み
- 損失が証拠金の範囲に収まる保証はない
ロスカット後に不足金が残った件数(協会の公表値)
証拠金を超える損失は、説明上の可能性にとどまりません。金融先物取引業協会は、ロスカット等で決済しても証拠金で損失をまかなえず、顧客が業者に追加で支払う必要のある不足金(協会の資料では「未収金」)が出た件数と金額を公表しています。為替相場が急変した日の速報値のうち、個人の分を写しました。
| 日付 | 個人の発生件数 | 個人の発生金額 | 協会ページの記載(相場変動の内容) |
|---|---|---|---|
| 2015年1月15日 | 1,137件 | 1,948百万円 | スイスフランの相場変動 |
| 2015年8月24日 | 4,820件 | 828百万円 | 早朝に南アフリカランド/円、夜間に米ドル/円等の相場変動 |
| 2019年1月3日 | 6,389件 | 808百万円 | (注記なし) |
| 2021年3月22日 | 3,444件 | 1,375百万円 | トルコリラ/円の相場変動 |
ロスカット後に不足金が残った個人の件数(速報値)
出典は金融先物取引業協会「ロスカット等未収金発生状況」です(確認日:2026年10月3日)。いずれも速報値で、金額は単位未満切り捨て。2019年と2021年は店頭取引と取引所取引(市場取引)の合計で、2015年の2件は内訳が示されていません。2015年8月24日は、同日早朝から翌日早朝までを1営業日として集計した値です。法人の件数は表から除きました。
この件数が、当時取引していた人全体の何割にあたるかは、このページからは分かりません。急変が起きた通貨ペアを示すもので、その通貨ペアを避ければ不足金が出ないという意味でもありません。月ごとの件数は同協会のロスカット等未収金発生口座数(月次・速報)で確認できます。
資金計画では「損失がどこまで増え得るか」を確認する
生活費や近く支払う予定のお金と、取引に使うお金を区別して考えます。ただし、余裕資金を使えば冷静に取引できる、安全になる、とまではいえません。
契約前には、取引数量、必要証拠金、ロスカットの判定条件、証拠金を超える損失が出た場合の支払いを契約書面で確認してください。不明点が残るなら、入金や取引を急ぐ必要はありません。FX会社を選ぶ前の確認項目も整理しています。